元レーシングドライバーの脇阪寿一さんが東日本B地区決勝に参戦

 国内外の自動車レースで活躍された元レーシングドライバーの脇阪寿一さんが、全日本アマチュアゴルファーズ選手権東日本B地区決勝に参戦。惜しくも2打差で全日本大会進出はならなかったものの、さすがレーシングドライバーならではの集中力と勝負勘で実力の片鱗を見せていただきました。
 競技ゴルフに挑戦を始めて2年。現在、レーシングチーム監督として多忙な日々の合間を縫って練習に励み、「がむしゃらに取り組んでいます」と語る脇阪さんにお話しを伺いました。


競技の怖さ、難しさを味わいながら奮闘した2日間
 初日が81で最終日が77、やっぱり競技は難しいと思いました。悔しいですね。参加している知り合いの選手から「77、77ぐらいで(全日本大会に)行けるんじゃないか」と聞いていたので、最終日は何とかパープレーぐらいで回りたいと思っていたんですけど、前半のインコースで41叩いてしまいまして。アプローチのミスでトリプルボギーとダブルボギーを叩いてしまったんですけど、そこからズルズルいってしまうと今後のゴルフに影響するので、気を取り直して後半のハーフに臨んだところ何とか36で回ることができました。我慢しながら、競技の怖さを感じながら後半のハーフを戦いました。
 2日間でバーディは4つ。印象に残るのは初日の最終ホール(9番)、グリーンの外から10メートルぐらいのパットが入りました。自分の中で「これを入れて39で上がらないと明日に繋がらない、絶対に入れるぞ」と思ったのと、最終ラウンドの5番パー4で、残り140ヤードからのセカンドショットが入りかけました。実は練習ラウンドで一緒に回ったレーサー仲間の国本雄資君が直接入れてイーグルを取っていまして、彼と同じようなところにボールがあったのでイメージが湧いて8番アイアンで低めにラインを出して打ったんです。完全に入ったと思いましたね!


自問自答の末、競技ゴルフの神髄をあらためて認識
 競技に挑戦を始めたのは一昨年の冬からです。2年間がむしゃらにやっているんですが一向に上手くなりませんね(笑)それが何故なのか自問自答する日々が続いていますが、所属クラブに知り合いもでき、研修会にも所属してクラブチャンピオンの方とも親しくさせていただくようになってから自分のゴルフが少しずつ変わってきています。悪いなりにもこれぐらいで収まっているということは、いろいろな方から教えていただいてきたことが少しだけわかってきたような気がしています。
 競技を始める以前は、レースの仲間たちとプレッシャーのない中で「勝った、負けた」とやりながら、「こいつにはレースでは負けないな」とか「こいつはやっぱり強いんだな」とか、ゴルフはライバルのメンタリティを見て測るための遊びだったんですけど、いま僕の中では、プレッシャーの中で我慢しながらパーを積み重ね、たとえバーディパットが入らなくても、パーで済むことによしとしている自分がいて、それこそが真の競技ゴルフなのかなっていうのを今回あらためて認識させてもらった気がしています。それは大きな発見と経験をさせていただきました。


何物にも代えがたい、競技者として味わう緊張感
 また、レースを引退した後、自分の日常生活の中で競技に向けて準備をしたり、コンディションを整えるようなことがなくなっていた中、競技を始めたことでそういうことをまた経験させてもらえるし、今回も初日のスタートホールで空ゲップが止まらなくなるぐらい緊張したり。そういう経験もさせてもらえているところに感謝をしています。やはり、自分がプレーヤーとして再び競技の緊張感を味わうことができるのは特別ですね。あと若い子からも刺激をもらえるじゃないですか。僕も学生のときからゴルフをやっていればよかったなと思うぐらいです(笑)元プロ野球選手を始め、他のアスリートの方たちも競技ゴルフに挑戦されているのはそういうことなんじゃないかと思います。
 レースのことは手に取るようにわかるので、「なんでそんなことができないの?」って若いドライバーの子たちには言えるんですけど、ゴルフは自分自身「なんでこんなに同じことばかり間違えるの?」って思うばかりです(笑)レースに例えるならば、レーシングカーを速く走らせる能力ではなく、レーシングカーを速く走らせるためにどうするべきかと考える能力が必要ですね。それがもし備わっていればゴルフも上手くできるはずという考え方でやっているんですけど、なかなかうまいこといきません。


一アマチュア選手として認識していただけるようになりたい
 真剣にやっていてもなかなか実力は伴っていませんが、アマチュアゴルファーとして名前を知っていただけるぐらい上達したいですね。「元レーサーの脇阪寿一」ではなく、一アマチュアゴルファーとしての自分を認識していただけるようになりたいなと思います。
 6月はル・マン24時間耐久レースなど海外のレースが続いてほぼ日本にいないため、残念ながらミッドアマチュアゴルファーズ選手権には出場することができませんが、今後もタイミングが合えばPGS主催競技にも参加したいと思います。いま、僕の生活、頭の中はゴルフが中心ですが、ゴルフを続けるために仕事のクオリティも上げて頑張りたいと思います。