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プロテスト合格者に聞きました!
| 今年の8月27日~30日、石川県・片山津ゴルフ倶楽部(白山コース)で行われたPGA資格認定プロテスト、そして10月29日~11月1日、茨城県・大洗ゴルフ倶楽部で行われたJLPGAプロテスト、このテストを受験し見事合格を果たしたPGS選手権競技歴代参加者に話を伺いました。超難関のプロテストでどう戦い、いかにして狭き門を突破したのか。晴れてプロゴルファーの仲間入りを果たしたお二人の新人プロにお話を伺いました。
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■栗原悠宇 選手(2023年度 全日本アマチュアゴルファーズ選手権2位)
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昨年6月、栃木県・イーストウッドカントリークラブで開催された全日本アマチュアゴルファーズ選手権において、第2位入賞。優勝には届かなかったものの、この試合で得た資格で日本アマ、プロテストへの道を切り開く。最終プロテスト成績は4日間通算3アンダー、11位タイ。
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写真:2023年 全日本アマチュアゴルファーズ選手権
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独特の緊張感の中、徹底したゲームプランで難攻不落の片山津を攻略
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会場の片山津ゴルフ倶楽部は砲台グリーンが多く、バンカーはとても深い上に、砂質がサラサラ。寄せようと感じを出すとミスになりやすい、グリーンを外すと簡単にボギーが出てしまう難しさがありました。また、パー3は長くてどこもロングアイアンを持つような距離設定。台風が近づいていたこともあって風が強く、使用クラブは3番、4番アイアン。しかもアゲインストだったので実質220~230ヤードぐらいの距離を打つ感覚でした。その上グリーンを外すとバンカーや池があったので、パー3の攻略が鍵になると思いました。まさに最終プロテストに相応しく、難関がたくさん待ち受けていて、すべてを試されるようなコースでした。
これまで経験してきたアマチュアの試合と違って緊張感も高く、スタートしてからもずっとフワフワしている感じが抜けなくて、独特の緊張感でした。とりあえず合格することが大事なので、バーディを狙うというよりは、グリーンのセンターを狙ってパーオンさせ、ひたすらパーを取り続けていくプラン。1ホールも攻めたホールはなく、パー5も敢えてアイアンで刻んで得意距離を残す。それを4日間徹底してやり続けました。3日目が終わってイーブンパー(18位タイ)でしたが、最終日3オーバー、4オーバーを叩いたら落ちてしまうので、最後まで気が抜けませんでした。
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写真:2023年 全日本アマチュアゴルファーズ選手権
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最終日、前半でバーディを取った後、ショットを引っ掛けて池に入れダブルボギーを叩いてしまい、1オーバーで後半へ折り返しました。その時点でカットラインが4オーバー。「もうこれ以上は打てない」と思いましたが、それでもバーディは狙わず、ボギーを打たないようにと心に決めてスタートしたところ、後半出だしのパー5から4連続バーディ。それで気持ちが少し楽になりました。最終的にアンダーパーで終われればよしと思っていましたので、結果的に3アンダーで終わることができてよかったです。テストに合格することができた一番の要因はショットがよかったこと。4日間安定していたので、ボギーを最小限におさえることができました。調子のピークを最終テストに合わせることができてよかったです。
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プロゴルファーへの道を切り開いた全日本アマ選の2位入賞
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昨年の全日本アマ選では悔しい思いをしました。初日65でトップに立てたので優勝したかったですが、最終日にスコアを伸ばすことができませんでした。それまで全国規模の大会で上位争いをしたことがありませんでしたし、最終日最終組で優勝を争うのも初めての経験でした。そういう中で、いくら自分のプレーに徹しようと思っても、上手い人のプレーはどうしても見てしまいますよね。同組でナショナルチームに所属していた大嶋港選手がいいプレーをしていたので、彼がバーディを取れば「自分も取らなきゃ!」って、焦りも出る。最終日スコアを伸ばせなかったのは、そういう経験の差だったと思います。実際、優勝した本大志君はスコアを伸ばしていましたし、あのような状況下でもスコアを伸ばすことができないとプロではやっていけないだろうなって感じました。だから自分にとってはすごくいい経験をさせていただいた試合です。また、全日本アマ選2位の資格で日本アマに出場することができましたし、プロテストも一次予選が免除され、二次予選から出場することができました。また、予選落ちはしましたが、昨年は日本オープンにも出場することができ、やっぱり「自分もあのような舞台でまたプレーしたい」と強く思うようになりました。
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写真:2023年 全日本アマチュアゴルファーズ選手権
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目標はライバルたちに追いつき、日本一のゴルファーになること
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今年の4月、日本大学を卒業して埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部へ研修生として就職しました。プロテストは何回も受けるものではないと思っていましたし、3回やって受からなければ辞めて違う道へ行こうと決めていましたが、最終プロテストに合格して11月より所属プロとして契約していただきました。ゴルフ部の同期には、既にプロで活躍している杉浦悠太と出利葉太一郎がいます。彼らの活躍はもちろん刺激になりますし、早く追いつきたいですね。今後の計画はQTファイナルからツアーに出ることはもちろん、ゆくゆくはアジアから海外ツアーへ参戦したいと思いますし、日本オープンの舞台で活躍できる選手になりたいです。
自分にとって全日本アマチュアゴルファーズ選手権はいろいろな道が開けた大会、本当にいい試合に出させていただいたと思っています。プロを目指す人も、アマチュアでやる人も、それぞれ目標は違っても年齢を問わず楽しめる競技ゴルフはいいですよね! 是非楽しんでいただきたいと思います。
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■徳永歩さん(2024年度 全日本女子アマチュアゴルファーズ選手権優勝)
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今年5月、栃木県・那須野ヶ原カントリークラブで開催された全日本女子アマチュアゴルファーズ選手権において、切れ味あるショットを武器に同組の選手に一歩も引けを取らず上位争いをリードし、優勝。プロテストでもその力を遺憾なく発揮し、4日間通算8アンダー、堂々2位タイで見事プロテストに合格。
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写真:2024年 全日本女子アマチュアゴルファーズ選手権
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グリップを握り替えて7バーディ! 最終日の猛攻でテストを突破
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大洗ゴルフ倶楽部はコースが狭いですし、初日は結構風が吹いたのでティショットが難しかったです。胃が痛くなる4日間でした(笑)
初日、2日目はショットの調子が悪く、アプローチで寄せながらスコアをまとめていました。2日目が終わった後、コーチにビデオ通話でスイングを見てもらったら3日目、最終日と段々よくなり、2日目以降はパーオン率が上がりました(4日間72ホール中51ホールでパーオン)。
また、パッティングは初日からまずまずでしたが、最終日は特によくて7バーディ。1、2番で短い距離のパットを外してしまい、クロスハンドで握っていたグリップを次のホールから順手に握り替えたら、めっちゃ入るようになったんです! 入らないなら同じことをしていても仕方がないなと思って、思い切って握り替えたのがよかったようです。5メートル前後からそれ以上のミドル、ロングパットがびっくりするぐらいよく入りましたね(笑)それでも最終日はずっと緊張していて全く安心できませんでしたけど、カットラインが2オーバーだと思っていたので、「後半で44を叩いても合格できる」と思ったら、少しだけ気が楽になりました。
プロテスト受験は2回目でした。昨年の反省から、一年間課題だったアプローチとパッティングの練習に取り組みました。その2つの課題をまず最低限のレベルまで持っていけたのがよかったと思います。また、コースで毎日練習できるので、得意なショットがさらによくなり、全体的にレベルアップすることができました。
普通にやればテストに合格する力はあると思っていましたが、普通にやることが難しいんですね。他の試合と雰囲気が全然違うんです。アマチュア時代の試合なら成績が悪くても失うものは何もないんですけど、プロテストは落ちてしまったら、また1年間待たなければいけないと思うと余計に難しいなと感じてしまって……「落ち着いてやれば絶対に大丈夫」と、自分に何度も言い聞かせながらプレーしていました。だから、4日間長かったですね(笑)合格できて本当によかったです。
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写真:2024年 全日本女子アマチュアゴルファーズ選手権
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理解ある会社に身を置き、じっくりとゴルフに取り組む
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普段は滋賀県の蒲生ゴルフ倶楽部でゴルフ場の業務に就きながら練習に励んでいます。親会社(センコーグループホールディングス株式会社)が実業団ゴルフの先駆けとして社内にゴルフ部を創り、ゴルフを通じた人材育成と共に企業対抗や社会人選手権などのアマチュア大会に出場しているんです。おかげで私はその女子ゴルフ部のプロゴルファー第1号となることができました。会社がゴルフへの理解があるため、仕事をしながら技術を向上させることができ、大変恵まれた環境でゴルフに取り組むことができています。(プロテストの合格を)皆さんとても喜んでくださって本当にありがたかったです。
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得意なショットに磨きをかけ、夢はメジャー制覇!
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自分自身のセールスポイントはやはりショット力ですね。得意なアイアンショットを見ていただきたいです。結構緊張する方ですが、焦らず冷静にプレーすることを心掛けています。そして負けず嫌いですね(笑)昔はそうでもなかったんですが、プロを目指すようになってからは「負けて悔しい」という感情が芽生えるようになりました。今回のテストでは、私を含めて同級生が8人合格しました。全日本女子アマ選で一緒だった寺岡沙弥香さんもトップ合格。同世代がたくさん合格してうれしいですが、みんなに負けないように頑張ります!(笑)
申ジエさんのような強い選手が目標です。ゴルフが上手いのはもちろんですけど、強いと思わせるプレーといいますか、そういう雰囲気を持った選手になりたいと思います。最終的にアメリカのメジャー大会で勝ちたいという目標があるので、QTの成績次第でどうなるかわからないですけど、もし来年レギュラーツアーに出られなければステップアップツアーでしっかり結果を残して、再来年にはレギュラーツアーに出られるよう、出場できる試合ひとつひとつで結果を出して、一つでも上の段階に行けるように頑張りたいと思います。まだまだ足りない部分はたくさんありますけど、5年以内にメジャーで勝ちたいので、そこに向けて毎日必死に頑張って、早くたどり着けたらいいなと思います。
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写真:2024年 全日本女子アマチュアゴルファーズ選手権
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PGSの競技に参加されるジュニアの皆さんには、まずゴルフを楽しんでほしいですね。私は父の勧めでゴルフを始めましたが、中学2年ぐらいまではゴルフが好きではありませんでした(笑)嫌いな気持ちでプレーするゴルフはとてもしんどいので、まずは楽しんでほしいです。あとはご両親や周りの方への感謝を忘れないこと。周りで自分を支えてくれたりお世話をしてくれる人がいなかったらゴルフはできませんから。感謝をすること、大事にしてほしいですね。
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