International Pairs World Final リポート

◆9月30日(月)~10月4日(金)
 (競技日:10月2日~3日)
◆Golf del sur(ゴルフ・デル・スール)
 Norte・Linksコース/スペイン・テネリフェ島
◆男子 6,089Yards
 女子 5,500Yards/Par72 参加国 23ヶ国

降り注ぐ陽光の下、2日間に亘る熱戦が繰り広げられました

日本代表として、元気いっぱいにプレーした福村香名選手(左)と大村美咲選手

 9月30日(月)~10月4日(金)にかけて、スペイン領テネリフェ島のGolf del surで開催された「International Pairs World Final」に、福村香名選手と大村美咲選手が出場。日本から遠く離れた異国の地で上位に入る大健闘を見せてくれました。今回は両選手のプレーを中心に、大会のリポートをお届けいたします。

福村香名選手

大村美咲選手

 日本から遠く離れること約12,000 km。アフリカ大陸の北西、大西洋に浮かぶカナリア諸島にあるテネリフェ島に23ヶ国の代表選手が集結。大会はチャンピオンシップ部門、ミックスペア部門、レディース部門に分かれ、2日間36ホールによるステーブルフォード方式(ハンディキャップあり)の合計ポイントによって競われました。
 この大会に、今年の4月17日に開催された「全日本ビジネスゴルファーズ選手権ダブルス戦」(茨城県/大利根カントリークラブ・東コース)で優勝し、日本代表の座をゲットしたチーム「daiyuu」の福村選手と大村選手。優勝が決まった瞬間、涙を流して喜んだ両選手が、日の丸をつけた揃いのユニフォームを着用し、ワールドファイナル(チャンピオンシップ部門)を戦いました。

会場となったGolf del sur

大西洋を臨む絶好のロケーションにあるGolf del sur

空港が近いことから、数分おきにジェット機がコースの上空を飛来

壮大な渓谷が広がるコースの周辺

 会場のGolf del surはテネリフェ南空港から約8キロ。1987年に開場し、90年代初めまでPGAヨーロッパツアー「テネリフェ・オープン」の開催実績がある由緒正しいチャンピオンシップコース。燦々と降り注ぐ陽光に加え、海からの風が心地よいリゾートに位置し、コースの北側方向にそびえる標高3,718メートルのテイデ山と大西洋を臨むロケーションは、ワールドファイナルに相応しい舞台でした。

 大会ウィークの月曜日と火曜日、滞在先のホテルにおいて歓迎パーティや前夜祭が行われました。浴衣姿で参加したお二人は注目度抜群。艶やかなチームJAPANの登場に、会場内は大いに盛り上がりました。前夜祭では他にも様々なイベントやセレモニーが執り行われ、大会に向けて参加選手の意気込みは最高潮に達しました。

大会前のフラッグセレモニー。バグパイプの演奏が流れる中、浴衣姿で入場した日本チーム

各国の選手と記念撮影を楽しむ福村選手(左)と大村選手

前夜祭には往年のライダーカップ欧州チ-ムメンバーが登場
左からマニュエル・ピネロ、コスタンチノ・ロッカ、エディ・ポーランド

 そして水曜日、いよいよ大会が開幕。コースに姿を現したチームJAPANの両選手。白と黒を基調にしたウェアが美しい景観にマッチし、袖につけた日の丸がコースの緑に映えました。湿度が低く、最高気温は25℃前後。カラッと晴れて過ごしやすい陽気の下、初日からいきいきとしたプレーでコースを攻略する両選手でしたが、緩やかに見える丘陵コースは見た目以上にアップダウンがきつく、加えて海から吹きつける強風に悩まされました。

「アップダウンがきつかったですね。海からの風も強く、練習日と初日は同じ方向に吹いていましたが、最終日は違いましたし、パーオンできるところができなかったり、逆にオーバーしてしまったり。持つクラブが3番手ぐらい違いましたので、距離感が難しかったです」と福村選手。
 コースのスタッフも「風は毎日吹きます。午後になると一層強くなりますが、今週はまだ弱い方です。普段はもっと強く吹きますから(笑)」と話していたとおり、風はこのコースにつきものらしく、海の方から、また時には山の方から吹きつけてコース上を舞い、プレーヤーを迷わせるのだそうです。

練習日、同組でラウンドしたケニアチームと

手引きカートを押しながらアップヒルを駆け上がる両選手

自然の地形が生かされ、正確なショットが要求されるコース

グリーンの方向を確認し合う両選手

隣接する渓谷を横目にフェアウェイをいく両選手

テイデ山に向かってティショットを放つ大村選手

バーディ奪取に繋げた福村選手のセカンドショット

ラインを読む大村選手(左)と福村選手

 距離は女子ティで5,500ヤードながら、見た目以上のプレーイングディスタンスを感じると共に、ブラインドで先の見えないホールが多いのも特徴。また、島のシンボルであるテイデ山の噴火によって形成された島だけに、コース周辺は壮大な渓谷が広がっており、コース内にも岩場やサボテンが多く生息するなど、日本ではお目にかかることのないコースだけに、ティショットはもちろんすべてのショットで正確性を求められるコースでした。また、芝目の強いグリーンにも大いに悩まされたそうです。

「グリーンは芝目がきつかったですね。基本的には山から海に向かって順目なんですけど、傾斜より目が強くて逆の方へ転がっていくことがあって、特にショートパットが難しかったです」と、お二人共に口を揃えるとおり、再三バーディチャンスにつけながら惜しくも外してしまう場面が多くみられました。
「練習ラウンドではバーディもイーグルもたくさん取ったんですけど、本番では取れませんでした(笑)」。

グリーンの芝目に苦戦を強いられた両選手

再三にわたりチャンスが訪れるも、なかなかバーディをとることができず

ようやくバーディをゲット!

ナイスバーディ!リズムに乗るチームJAPAN

 海外での初めての試合、外国選手や大会関係者とのコミュニケーションは問題なかったのでしょうか?
「美咲が英語を話せるのでまったく問題ありませんでした!」と福村選手が話すとおり、大村選手は海外への留学経験もあり英語が堪能。しかし、「ステーブルフォード方式でプレーするのは始めて。しかもハンディキャップ戦だったので、最初スコアのつけ方がわかりませんでした」と大村選手。
 また「ローカルルールや手引きカートでのプレーなど、直前まで知らされていなかったこともあったので、そういう点は戸惑いました。幸い、初日同組だった南アフリカチームのお二人が教えてくれたので良かったですけど……」
 プレー終了後のスコア提出の際は、大村選手がスタッフと1ホールずつスコアを確認、2日間のプレーを無事に終了することができました。

スコアカードの記入方法について、南アフリカの選手と確認し合う二人

プリファードライの適用について確認する大村選手

スコアカード提出所でスコアを確認し合う両選手

同組の南アフリカチームからプレゼントされたタオルを持って記念撮影

「大会全体の雰囲気はとてもよかったです。世界各国の選手が集まる大会は初めてでしたし、ホスピタリティも充実していてとても楽しめました」(福村選手)
「他の国の人たち、割と “毎年会っています” という雰囲気で話していました。私たちだけが『初めてで何もわかりません』という感じ(笑)常連で参加している国があるようでしたね」(大村選手)

 参加国の中にはお二人のようにトップクラスの選手もいれば、アベレージクラスの選手まで様々。手引きカートでのセルフプレーは時間もかかりましたが、「とても疲れたけど、達成感も得られました」と声をそろえる両選手。ステーブルフォードによるポイントは2日間トータル78ポイントで12位、ハンディキャップ1と2の両選手には厳しかったですが、ベターボール採用のグロス戦は2日間トータルイーブンパーの144ストロークで3位。さすがの実力を見せつけ、各国の選手からは「彼女たちはプロに転向するの?」といった声が聞かれました。

最終日の17番パー4。会心のティショットは、本人も驚きのグリーンオーバー

各国の選手からは「彼女たちはプロに転向するの?」との声も

18番パー3、2日間で最後のティショットに臨む大村選手

2日間チームワークを発揮して健闘した両選手。最高のペアですね!


パーティ前、フラッグにサインをする両選手

クラブハウスのバンケットルームで行われた表彰セレモニー&パーティ

表彰された各部門の優勝チーム

「日本を代表して戦うのは最高に気分も高まりましたし、楽しかったです。練習日はケニア、初日は南アフリカ、最終日はシンガポールの方々と回りましたが、いい経験でした」(福村選手)
「世界一を決めるというよりは、世界各国の選手と交流を楽しむ雰囲気の大会でしたが、テネリフェ島なんてまず来ないところだし、いい経験になりました」(大村選手)

「心残りは観光ができなかったこと(笑)」と笑い合うお二人、日本から来る際、乗り継ぎのドーハで飛行機が飛ばず半日足止めを喰らい、到着が遅れたことで丸一日を棒に振ってしまったとか。それでも毎日の食事だけは堪能したようで、「特に生ガキが美味しかったですね! 普段、試合前に生ものは絶対食べないですけど、今回だけは別(笑)大満足でした!」と、声を弾ませていました。

日本からはるばる応援に駆けつけた皆さんとシーフードを堪能。
「エンドレスでいけるぐらい美味しかったです(笑)」

 来年は南アフリカでの開催が決まっている本大会。「チャンスがあればもちろん来年も出たいですね。世界各国、飛び回ろうぜ!(笑)」と、締め括っていただきました。

 今大会を通じ、ゴルフは世界中で楽しまれているメジャースポーツであることをあらためて実感しました。参加国の中にはアフリカ諸国のように「僕らの国ではゴルフはまだまだスモールコミュニティ。ゴルフ場は砂漠の中にあってコースには芝が生えていません。こんな美しいコースでプレーができてうれしいよ!」と声を弾ませる選手もいました。
 このような大会で世界のゴルファーと交流ができ、お互いの国のゴルフ事情を知ることができるのはとても貴重で有意義だと思いました。言葉が通じなくても、ゴルフを通して笑顔で通じ会える。まさに世界各国、ワールドワイドに広がるゴルフが持つ最大の魅力がそこにあるといえるのではないでしょうか。