2022年度選手権競技全日本大会取材トピックス
 前回に引き続き、今回はシニア・女子ミッドアマ選の全日本大会でのトピックスをお届けいたします。

【全日本シニアアマチュアゴルファーズ選手権】
【全日本女子ミッドアマチュアゴルファーズ選手権】
◆6月27日(月)~28日(火)
◆岐阜県/伊深の森カントリークラブ
正面玄関に設置された横断幕とお花が選手をお出迎え

短冊に願いを込めて。クラブハウス内に設置された笹の葉飾り
色とりどりの短冊に願いを込めて

 横断幕とお花が飾られた華やかなエントランスを抜けてクラブハウス2階へ上がると、レストラン入口には大きな笹の葉飾りがありました。折しも七夕前、笹にはゴルファーそれぞれの思いが込められた短冊がたくさん結びつけられており、選手の皆さんも興味津々。今大会での願いを込めて一筆をとる選手も見受けられ、真剣勝負を前に、一足早い夏の風物詩を楽しんでいらっしゃいました。こういう試み、いいですね!



大会最終日は猛暑日。暑さ対策は万全です!
暑い! 大会最終日は36.9℃を記録。後半のスタートを前にテントで一休み

大きなハット型の帽子も夏のプレーには欠かせなくなりました

 今年のシニア、女子ミッドアマ選は、選手にとっては猛暑との戦いでした。ここ数年、この時期の暑さは毎年のこととはいえ、ゴルフ場のある岐阜県美濃加茂市は、全国的にも比較的暑いことで知られ、気象庁発表のデータによれば、大会が開催された各日の最高気温は6/27が34.4℃、6/28に至っては36.9℃を記録。まさに猛暑日の中での戦いとなりました。
クラブハウスコース側出口頭上より冷却ミストを噴射

乗用カートの後部座席後ろの籠に設置されたウォータータンク。前席頭上より冷却ミストを噴射

 クラブでは対策として、クラブハウスのコース側出入口頭上より冷却ミストを噴射。また、乗用カートはウォータータンクが設置された冷却ミストカートを導入。必要時に前席頭上から冷却ミストが噴射される仕組みで、日頃の営業時より好評を博しているとのことから、選手にも大好評でした。売店のかき氷もたくさん売れたそうですよ!
プレーの合間にかき氷を楽しむ選手の皆さん。売店はまさにオアシスでしたね!



初優勝の塩田選手。ちょん髷の “キング” が描く次なる夢
最終日、気迫のこもったプレーを見せる塩田選手

 「岐阜は戦国時代ゆかりの地。気合いを入れて来ましたよ!」と言って笑顔を見せた塩田一史選手(55歳)。その想いをちょん髷に込め、2日間気迫のこもったプレーで優勝を勝ち取りました。
 この暑さの中、最終日は全身黒づくめ。「なおさら暑いだろうけど、黒は何色にも染まらないでしょ? だから好き。このスタイルは変えられないんですよ」と、熱中症でのリタイアも出る中、勝負服を着込み一人笑顔を見せる塩田選手。現在は運送業の仕事をご子息に任せ、住居を中東のドバイに移したそうで、暑い現地では朝5時から1人でプレーするのだとか。
 一際目立つ姿から、現地では外国人に記念写真をせがまれることも多いそうで、「いつしか “キング” というニックネームも付けられましたよ(笑)」と、うれしそうな塩田選手。そんな塩田選手の夢は教師になること。「47歳の時に流通経済大学へ入学し、教師の資格を取りました。若い人たちと一緒に教育実習もやりましたよ。教師は私の夢だったんです」と情熱的に語る塩田選手。ゴルフ同様に熱い気持ちが伝わってきました。
優勝杯を手にする塩田選手。最高の笑顔です!



障害をものともせず、優勝を勝ち取った吉岡選手
力強いスイングでスーパーショットを放つ吉岡選手

 今年の女子ミッドアマ選は、吉岡ひかる選手(26歳)、田中のどか選手(24歳)、そしてディフェンディングチャンピオンの須藤悠圭選手(29歳)という20歳代の3選手によるフレッシュな優勝争いとなりました。
 今大会過去2勝、堅実なゴルフが持ち味の須藤選手、そして日本大学ゴルフ部出身、ミッドアマルーキーで今年の東日本地区決勝を制した田中選手、ドライバーの長打を武器に攻撃的なプレーで今年の西日本地区決勝を制した吉岡選手。初日からそれぞれの持ち味を生かしたゴルフで優勝を目指しましたが、タイトルを勝ち取ったのは吉岡選手でした。
スタート前の3選手。左から吉岡選手、田中選手、須藤選手

 吉岡選手は聴覚に障害があり、今では耳に補聴器をつけて相手の口元の動きを見ながらコミュニケーションが取れるようになったそうですが、その障害を感じさせない力強いプレーと爽やかな笑顔が素敵な26歳。所属する兵庫県・有馬カンツリー倶楽部のクラブ選手権で、3連覇を含む4度の優勝実績を持ち、高校卒業後に同倶楽部へ就職。キャディの仕事をしながらゴルフを楽しんでいるそうです。
「クラブ選手権はもういいかなと思っていたけど、今年は若い人が参戦してくるそうだから、また挑戦してみようかなと思っています」と、笑顔を見せた吉岡選手。
 実力者が揃う女子ミッドアマ選において、また一人新たな新星がその名を刻みましたが、試合後の表彰セレモニーでは田中選手、須藤選手と共に笑顔で記念撮影。セレモニーが終わった後は、今どきの若い女性らしく、スマホで連絡先を交換するなど微笑ましい光景が見られました。
表彰セレモニーでは、3人の笑顔も弾けました